医学はすさまじいスピードで進歩していて、まさに「日進月歩」。
忙しい業務の中、医療者も勉強して新しい知識を入れていかなければならない。
というか、そもそも20年以上勉強してきたのにいまだに後輩に知識でマウントとられることもあったり。。。
これでも救急医療現場のリーダーをすることもある私が脳の癖を利用したコスパの良い勉強法案を私の中で可決したので紹介。
結論
「①何をすればいいかがわかっていることが重要で、②そのすべきことを効果的な方法で、③実践しやすい環境を作る」である。
「メモをする」意味
集中力の妨げになることを1つ挙げておこう!それは「えーっと、これから何をするんだったけな?」的思考。
もちろん 臨機応変さが求められる仕事現場では何をするか考えなければならない時は往々にしてある。だからこそ、あらかじめ今日1日にしなければならない案件や予定、全体像を把握した上での行動するようにすると、集中力維持という面では有利だってことです。
当たり前ですが出来てない人多すぎません?
かくいう僕も意外とつまずいている口です。それを解決するのに役立つことは以下。
メモはTO DOリストになる
やらなければならない仕事が思い浮かんだり、頼まれたことはその場ですぐできなければメモするとよいです。
メモがあればそれに沿って仕事を進めることが出来ますし、わからないことを書いておけば時間があるときに調べることができます。また先輩に教えられているときもメモします。聞きながらメモする後輩はやる気があるかわいい後輩に見えるし、時間があるときにそれを復習することが出来るので便利です。ただし、メモは自分のメモだとわかるようにしておくこと+個人情報を書かないことが良いと思います。
さらに僕のおすすめはそのメモは仕事の最後か、1日の最後に捨てることです。理由は当日のうちにしなければならないことは済まそうとするでしょうし、重要度の低いTO DO項目は❝しない❞ということが脳にとってパフォーマンスが良いからです。
思考過程をメモする
何か考えないといけないことが思い浮かんだら、箇条書きでいいから書いてみましょう。言語化してみましょう。めんどくさいでしょうが、これは思考スピードを上げるうえでとても有用です。だまされたと思ってやってみてください。
モチベーションを保ち、やった分だけ身につく方法
自学で重要な2つのこと「モチベーションを保つ!」「やった分だけ身になる!」
この2つができないと自学は続きません。この2つを達成しやすくなる方法はズバリ ❝ OUTPUT ❞
脳を騙してモチベーション維持
漠然と「知識不足だから勉強しなければならない」「上司に言われたから」という理由で、勉強にやる気をだせる、集中できる人いますか?私はちょっと無理。
学習のモチベーションは目的意識に依存します。
「なぜ勉強しているか分からない」とか「イヤだ」「おもしろくない」って思っている勉強を始めたり継続したりするのは至難の技。
これ脳の仕組みなんで普通です。
穴を掘っては埋めるを繰り返す拷問が最たるものでしょうかね。
休んでいても酸素の1/4、ブドウ糖の1/5を使う浪費家の脳は、理由のないこと、つまらないことをやれと言うと「節約させろよ、嫌だよ」っとなるわけです。
「こうすれば、その後、こんな利益があるぞ」と目標を設定するのが効果的なわけです。
勉強(INPUT)するだけでは利益は100%得られません。つまり、得たものは使うことで始めて利益となりうる。
「今まさに目の前の患者さんの診療で用いる知識」 患者にアウトプット→患者への利益
「来月の学会プレゼン資料作成」 学会でアウトプット →評価される
「SNSで勉強内容を発信する」 SNSでアウトプット →いいね!がもらえる
こういった明確な目的があれば人はどうでしょう?勉強した先に何が待っているのかがイメージできている勉強はモチベーションが保てる。これは脳の仕組みです。
する意味がわからないことは・・・正直しなくていいと思います。タスクの意味を自分で理解する、相手に理解させるということの重要さはパフォーマンスにも関わっているわけですね。
目標(アウトプット)設定すると、達成時にはドーパミンが出で脳は楽しくなってしまいます!
この癖をうまく使うんですね。ここで重要なポイントっす。
目標設定のこつは細かく具体的に設定です。
「ダイエットする」というような目標ではなく、「3kg痩せる」「このジーパンを履けるようにする」などなど、具体性をもたせたり、細かく分割して達成ドーパミンを出していくのが効果的です。
こうすれば脳はめげずに継続できます。
どうすれば脳は忘れにくくなるのか。
脳は使う必要がある情報を重要と認識し、長く覚えておくようにできています。
つまり、インプットするだけでは脳は忘れてしまうのでその知識をアウトプットすることが重要です。
些細なことでもいいので発信する、使う癖をつけましょう。
勉強したことを後輩に知ったかぶりして話す、SNSでつぶやく、講義教える、論文を書くなど、どんな方法でもOKです。
精神科医 樺沢紫苑先生は著書にインプット3:アウトプット7が効率的であると書かれています。
にも関わらず、なんとインプット主体で生きてきた我が自分の人生よ・・・。
アウトプットを前提としたインプットはモチベーションも維持しやすいし、記憶定着にもよいというわけですね。
インプットは自己満足で、自己成長はアウトプットの量と相関します。
そしてアウトプット(発信)することでやっと現実世界が変化するんですね。
このブログを始めたのもアウトプットを意識してですね。講義は聴くより、しろ。論文は読むより、書け。ってやってみるとすごい大変だけど圧倒的にコスパがいいんですよね。実感してます。
効果的なインプット、読書方法は?
Tintinalliは全部読んだ方がいいわ。救急医やろ?
仕事終わりにハリソンを読むのが趣味です。
まあ~いいんですよ。こうゆう人はそれで。
それをやっているすごい先輩医師は何人か知っていて。マジですごい人なんですが。
こう言っている人のほぼほぼが「マウントとり蔵」か「読んだだけ子」であることはご存知の通りである。
コスパのよい読書方法の1つの結論は
「難しい本を頭から通読するより、簡単な本をざっと多く読むことから始める」です。
3つの読書方法
いろいろな方の勉強、読書法を見てきて、大きく3つくらいに分かれるのでは?っと思いますので紹介。
①全体像をつかむために読む。
②‟知りたいこと” を考えたうえで狙った箇所だけ深く読む
③ 本自体読みたいと思ったから読む。
この3つの読書法を適応するには「どの本にどの読み方を適応するか」が重要です。
つまり、ハリソン内科学、ガイトン生理学を読んで内科や生理学の全体像をつかむには時間がかかるし、至難の業。
また、不整脈のアブレーションの専門書を読んで循環器内科の全体像をつかむことはできないって感じで本には大まかな特徴がありますよね。
それぞれの読み方に使いやすい特徴を持った本があるってことですね。
①全体像をつかむために読む。
医学は分野は多岐にわたりますので特に全体像の把握が重要です。
全体像をつかむということは勉強したい分野の ‟目次” となりうる本が向いているので純成書と呼ばれる辞書みたいなものはそれには向きにくいです。純成書でそれをやるとすればまさに目次を読んでパラ見するってくらいでしょうか?
おすすめは、薄めで、図が多めで、フランクな書き口ですぐ読めちゃう本を用いるといいです。入門編的なものや雑誌の特集で基本編的なのはうってつけです。時間をかけずにザっと読んでアウトラインを知って、大まかに自分の勉強したい分野はどういう感じの要素で出来ていてどういう比重なのかってのを知るようにする、これが正解だと思います。
どんな分野でも最初をここから始めることが勉強の自分マップを作る上で有効です。
② ‟知りたいこと” を考えたうえで読む
前述の通り、目的を決めて行動することは勉強、臨床現場では重要かつパフォーマンスが高い方法。
読書自体が目的にならないようにできるので、コスパのいい勉強法ですよっと。
知りたい事、勉強したい事を大まかに決めて、読書するわけですが、狭い目的であればあるほど書かれている箇所は少ないので、1冊のうち読まないところが出てくるんですよね。それはそれでOKと思っています。
例:「上室性不整脈に対する薬物療法の実際」という記事を雑誌に書く仕事が来たとしましょう。家や仕事場にある循環器系の本を何冊か集めてきて、「上室性不整脈関連の箇所」のみ読んで他はほぼ読みません。それでいいんです。目的まで最短に知識を得られます!
実際に私は循環器系、内科系、救急系の月刊誌で不整脈特集的なのをamazonで5冊くらいポチって、目的の部分だけ読んで、ガイドライン、海外論文などをあさって適切にカスタマイズして自分らしくアウトプットをするといった感じです。
ちゃんと学ぶには修行のように本を1冊熟読するのではなく目的に合わして、取捨選択、捨てる勇気を持つ方がコスパは実は良いです。
③本自体読みたいと思ったから、読まないといけないから読む。
趣味としてや、その時間が楽しいから読むのであればそれはそれでよいし、知り合いの書いている本だから読むというのもそれはそれでよいっすね。この場合は前から順番に読んでいけばいいと思います。小説とか頭からちゃんと読んだほうが楽しいに決まってます(笑)
あと専門医試験の本とかも一応全部読まないとだめですからね。
それでも僕は最初に目次で全体を把握して ‟知りたいこと” を考えたうえで読むということは徹底して読んでます。
あくまで効果的な自己成長のための読書としては①、②は重要な視点であると思っています。
ヘッドホン、ナッツ、ブラックコーヒー (+有酸素運動)
ここまでは、
「日々メモを活用すること」
「具体的なアウトプットを前提とした勉強(インプットをする)」
「読書は成書を前から順に熟読・通読ではなく、全体を薄くざっと読む or 必要なとこだけ読む」
について説明してきました。
最後はやる気のない省エネの脳みそくんの にスイッチを入れる環境づくりについて説明します。
大切なのは脳みそくんに「勉強するのですね、マスター。」っと思わせる環境づくりです。
勉強するとき、集中したいとき、僕はヘッドホン、ナッツ、コーヒーこの3つを準備します。
純粋に好物ってのもありますが、1つ1つにも意味はありますので説明していきます!
【準備するという行為自体が脳に「勉強するよ」という合図になる】
打席に入るときのイチローのルーチンもそうですし、仕事に行く前に決まった服を着たり、大勢の人の前でプレゼンする前には掌に「人」という文字を書くとかね。
ルーチン儀式って脳のスイッチを入れるのにとても効果的なんですね。
【ヘッドホン】
勉強・デスクワーク中に好きな曲を聴きながらやれば、作業効率をUPだ!って人いますよね?
実はこれ良くないんです! 単純な手作業などは良いとされますが、勉強など思考的な作業には逆効果です。脳は2つのことをすると処理能力が落ちちゃうんです。マルチタスク状態になるのでこれは控えるべきです。
ただ、テンションを上げるためにきっかけとして好きな曲を聴くってのは僕はありじゃないかって思っています。本当に集中したいときは雨の音、川のせせらぎ音、焚火の音などyoutubeで流すことが多いです。これはホワイトノイズのようなもので作業効率UPが報告されています。
僕は無音のままヘッドホン(耳栓でも)のみOK。
【ミックスナッツ】
小分けの素焼きのミックスナッツっすね。
「血糖値も急に上げないし、不飽和脂肪酸が含まれている、太りにくい。」
メカニズムに関しては今後の研究が待たれるが中長期的記憶力維持にも役立つと報告されている。
量的には小分けの袋1-2袋ぐらいがいいかなって思ってます。
・Nuts strengthen your brain, EEG study shows (medicalnewstoday.com)
・Bao Y, Han J, Hu FB, et al. Association of nut consumption with total and cause-specific mortality. N Engl J Med. 2013;369(21):2001-2011. doi:10.1056/NEJMoa1307352
【ブラックコーヒー】私が好きだというのもありますが、カフェインをとる意味ですね。缶コーヒー1本飲んで30分くらいすれば集中できるベースが出来上がるとされています。ただし、とりすぎは注意。
まとめ
勉強を辛いものにしないための工夫が重要。
【参考】
・The Ivy Lee Method: The Daily Routine for Peak Productivity (jamesclear.com)
・樺沢紫苑. 学びを結果に変えるアウトプット大全 . サンクチュアリ出版. Kindle 版. 2018/8/3
・Nuts strengthen your brain, EEG study shows (medicalnewstoday.com)
・Bao Y, Han J, Hu FB, et al. Association of nut consumption with total and cause-specific mortality. N Engl J Med. 2013;369(21):2001-2011. doi:10.1056/NEJMoa1307352
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