── ある朝、ふと「立ちくらみ」を感じたあなたへ
🌅その日は、いつもと同じ朝でした。
窓から入る光はやさしく、子どもが「朝ごはんまだー?」と元気に言う。
でも、なんだか今日は立ち上がったときに“クラクラ”する。
「寝不足かな?」と水を飲んでみるけど、なんだかボーッとする。
実はこれ、熱中症のはじまりかもしれません。
「外じゃないし、まさか熱中症なんて」…それ、昔の話
昔は「熱中症=真夏のグラウンドで倒れる高校球児」のイメージ。
でも今は熱中症は“エアコンをつけていない家の中”で多く起こっています。
厚生労働省のデータでは、熱中症による死亡者の約8割は高齢者(※1)で、
その多くが「屋内」で発生してます。
ただし、「年寄りの話でしょ」と安心しないでください。
20代〜40代でも「気づいたら倒れていた」ケースは、年々増加しています。
たとえば…
- 自宅でリモートワーク中、エアコンをつけずに熱中症
- 子どもと公園にいたら、親のほうがダウン
- 通勤電車を降りた直後にめまいと吐き気
ここ数年で暑さに拍車がかかってきた日本人、暑さに対して怖さを常にONにしてきたわけではないので “我慢強い日本人”ほど、熱中症になりやすいわけです。
熱中症が起きやすいのはこんなとき
シーン | なぜ危険? |
---|---|
就寝中〜朝の起床時 | 寝ている間に脱水が進行している |
室内でエアコンをつけない(または除湿していない) | 温度+湿度で熱が逃げにくくなる |
水だけをたくさん飲む | 塩分が不足し“低ナトリウム血症”になる |
お風呂上がりや掃除後 | 体温上昇+発汗+水分不足の三重苦 |
❌間違いやすい“常識”をアップデートしよう
常識の罠①「水はたくさん飲めばいい」は半分正解
人は汗をかくと、水分と一緒に塩分(ナトリウム)も失います。
水だけを飲み続けると血液中の塩分が薄まり、 相対的に“水中毒” や “低ナトリウム血症” というあぶない状態になることもあります。(日本救急医学会のガイドライン2024より※2)
“水だけはダメ”との断言 → スポーツドリンクや経口補水液(OS-1など)が◎
常識の罠②:「汗が出てない=大丈夫」は誤読
重症では汗が止まることがむしろヤバイ兆候。初期は汗かき、中等では止まり始める。罠はここ。
「これって熱中症かも病院いく?」の見分け方
熱中症は、進行すると“自力で回復できなくなる”病気です。
💡自分で対応できるレベル(軽症~中等症)
- 頭がボーッとする、めまいがする
- 手足がつる(こむら返り)
- なんとなく気持ち悪い、軽い吐き気
→ 涼しい場所へ移動して、水分・塩分を補給(一人にしない) → 衣服をゆるめて、首・脇・太ももの付け根を冷やす → 30分以内に改善すればとりあえずOK → 引き続き大丈夫か確認を。
🚑病院や救急を呼ぶべき状態(重症)
- 意識がもうろうとしている/会話が成立しない
- 水分が取れない、嘔吐が続く
- 体が熱く、汗が止まっている
- 痙攣、けいれん、異常行動がある
→ ためらわず119番か、#7119(救急相談センター)へ
🧠熱中症は、「がんばらない人」が勝ち
私たちは、つい「暑いけどあと少し」「冷房は節電のために」などと考えてしまいがち。
でも、それで倒れたら元も子もありません。
特に子どもや高齢者、持病のある方は、自分で症状に気づけないリスクもあります。
「ちょっとおかしいかも」と思った時点で、“勇気ある撤退”を。
それが、自分を守り、大切な人を守る行動です。
少し根性論が残っている私たち中年世代(注:まにまには中年です)の意識変容大事です。
暑さに“立ち向かう”のではなく、“やり過ごす知恵”を。
がんばれる能力ではなく、やめる勇気を持つ人こそ、真の“暑さ勝ち組”です。
📌まとめ──「熱中症は防げる、でも気づけない病気」
- 自分の「変だな」という感覚を信じてください
- 水だけではダメ、電解質とのバランスが命
- 運動前、寝る前、起きた直後、室内でも「こまめに補給」が鉄則
- 不安なら、迷わず相談を(#7119)
📚参考文献・出典
- 厚生労働省「熱中症関連情報」https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/
- 日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」
- 環境省「熱中症予防情報サイト」
https://www.wbgt.env.go.jp/ - 東京都救急医療情報センター #7119 紹介ページ
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/kyuu-adv/soudan-center.html
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